こんにちは、社会人から看護師になった【よしなお】です。
皆さんは精神科に対して
・なんだか怖いイメージがある
といった疑問を持っていませんか?
実際に、私が看護学生の頃に同級生から
「なんか怖い」
「あまり想像つかない」
など精神科に対する苦手意識や、怖がっている声を度々聞いたことがあります。
私は、精神科の看護師になりたくて看護師の道を目指した人間だったので、
同級生から苦手意識を聞いた時は自分の経験や、精神科の魅力について伝えるようにしてきました。
そうすると、「知らないだけで怖がっていたんだね。」というリアクションが返っくることが多かったです。
要するに、
・人間は知らない物事に対して警戒心や恐怖心を抱いてしまう
→なので、一般的にあまり知られていない精神科に対して警戒したり、怖いと感じてしまう。
・対象(相手)を理解することで、警戒心や恐怖心は改善される
→精神科について知ることで、今まで感じていた固定概念が変わる。
という事を学生の時に多く感じた経験がありました。
今回の記事では、精神科に日々やりがいを感じながら働いている私が、精神科の魅力をお伝えしていくことで、
皆さんの精神科に対する苦手意識や固定概念を変えていきたいと思います。
もっと言えば、一人でも多くの人が精神科に興味を持ったり、好きになってくれたら嬉しいです。
という事で、この記事では精神科の魅力についてまとめていきます。
残業が少なく、ライフワークバランスを整えやすい
私は看護学校卒業後、がん専門病院に入職しました。
・日勤の始業は8:30だが7:30前には病棟に入り、情報収集開始。
・業務終了は殆ど20時過ぎ。病棟に大体12時間は滞在。
・1年目は勤務後、さらに勉強や課題も。次の日にはまた5時台には起床…。
このような毎日で、とにかく出勤するのだけで精一杯でした。
今となってはその期間に学んだ知識や得られた経験が、看護師としての自分の土台になっているので大切な期間だと思うのですが、
一歩間違ったらメンタルを病む可能性もあったし、体調を壊した可能性もあったと思います。
それぐらい、ただただ必死に毎日を過ごしていました。
毎日に忙殺されて、家事を手伝うことが出来なかったです。
勤務後はくたびれ果てていたし、休日も消耗しすぎて家族と楽しい時間を過ごすことも難しかったです。
それから2年、がん専門病院から、ようやく自分のやりたかった精神科に転職しました。
すると、世界が変わりました。
・始業前の情報収集は15分程度で終わる。
・17時前に師長による業務の“締め”があり、ほぼ毎日定時で終業。
・患者対応や、遅めの入院があったりして終業が遅くなっても18時前には終わる。
と、こんな感じです。
転職した当初は、同じ看護師なのに世界がこうも違うのかと大変驚きました。
そして転職してからQOLが爆上がりしました。
・朝食も夕食も、家族揃ってとれる。
・家事を色々とすることができる。
・夜勤の前にジムに行ったり、バイトを入れたりできる。
・日々の勤務での心身の消耗が大幅に軽減されたので、休日を楽しめるようになった。
・日勤後に同僚と飲み会ができる。(多い月は3回くらい)
私の場合は、このような劇的な変化がありました。
ライフワークバランスが整うと、仕事以外の人生が急に楽しくなりますよ。
患者さんの命に直結する場面が少ない
がん専門病院にいた頃は、皆さんが命に直結するリスクを抱えながらの入院でした。
抱えている疾患は勿論ですし、実践している治療もハイリスクだったからです。
些細なミスでも命に直結してしまう場面が多くあったので、絶対にミスできないプレッシャーがありました。
いつ急変や死に直面してもおかしくなかったので、常に恐怖を感じながら仕事をしていました。
精神科では、身体的には問題がない患者さんが殆どなので身体的な急変に遭遇することはまずありません。
(そのような患者さんは生命が優先なので、身体を専門的に診ることができる病院に転院します。)
精神症状が激しく、切迫した希死念慮が著明な患者さんや自傷リスクの高い患者さんは時々いますが、そのような患者さんは生命の安全を守ること、身体の安全を守ることが最優先されるので行動制限という処遇がなされます。(隔離や身体拘束)
なので、リスクが高い時も安全を守る方策が取られているので、結果的には事故に繋がることはありません。(可能性はゼロではないですが)
このようなことから、プレッシャーや恐怖を感じる場面が大幅に少なくなりました。
観察力が向上する
神科は一般科と違い、「採血データで病状を判断する」「画像診断で重症度を判定する」といったような事ができません。
画像やデータではわからないことを判断し、探っていくことが求められます。
その方法としては、患者さんの表情や言動、服装や身振りなどあらゆるものから推測したり、何気ない会話から意図的に聞き出したり、という事があげられます。
日々そのようなことを積み重ねていく中で、観察力が向上していきます。
「看護は観察から!」という言葉を聞いた事がある方も多いと思いますが、看護の基礎となる観察力を磨くために精神科で働くことはオススメです。
コミュニケーション力が向上する
精神科の患者さんは、精神疾患が原因で、コミュニケーションを取ることが難しい患者さんが数多くいます。
代表的な例だと、統合失調症で幻覚や妄想状態にある患者さんや、うつ病で不安や焦り、緊張感が強い患者さんなどです。
我々が普段何も考えず無意識に行なっているような方法では、コミュニケーションでは成立しない場面が多々あります。
それどころか、病状に対して悪い方向に刺激してしまうなど、コミュニケーション一つで事態を悪化させてしまうこともあります。
患者さんの状態や反応をみながら、言葉を一つ一つ選択したり、リアクションをしたり、受け止めたり、時に注意したり…と疾患や病状に配慮した高いコミュニケーションスキルが必要となります。
始めは戸惑うこともあると思いますが、場数を踏むことで自分の中の引き出しが増えたり、臨機応変に対応できることも増えてきます。
このような理由から、精神科に従事するとコミュニケーション力が向上します。
患者さんと長期的に関われる
私が以前勤めていたがん専門病院では、短い方で数日。大体の方が2週間以内。長くて1ヶ月といった入院期間でした。
現在勤めている精神科では、早い方で3ヶ月程度。長い方で半年から1年というように、入院期間で大きな差があります。
一般科では必要な治療(内服や点滴、手術など)を実施して、検査を行い、良くなったことを確認して1週間前後で退院、その後は外来でサポートしていく、という流れが一般的です。
しかし精神科では扱っている疾患の特性や、行われている治療、リハビリ、退院に向けた調整など、どうしても月単位の時間が必要になってきてしまいます。
臨床経験が精神科からスタートした私の感覚としては、一般科においては1週間から2週間程度で退院していく事が本当にあっという間すぎて、「全然患者さんと関われない…」と物足りなさや不全感を感じていました。
もちろん、患者さんの立場から考えたら早期に退院できることは良いことであるのは当然です。ただ、この短い入院期間で患者さんと関係性を構築していくのは業務の多忙さもあり、本当に難しいと感じていました。
精神科は、月単位の入院の中で初めは拒否や拒絶からスタートした関係性も、退院時には信頼関係の構築に至ったりと長期の入院期間であるからこその積み上げを実感できるケースが多々あります。
また、退院後に外来に通院している患者さんとばったり出会って、少し雑談をしてなんとも嬉しい気分になることもありますし、一方で退院後に調子を崩してしまい再入院になる患者さんも一定数いらっしゃるため、関係性が継続されながら長期的に治療に関わっていくことも多いです。
このようなことは一般科ではなかなかないため、「もっと患者さんとじっくり関わりたい」と思っている方にとっては精神科をオススメします。
看護師一人一人の持ち味を出せる
看護師って、実に色んなタイプの看護師がいます。
新人、中堅、ベテラン、女性、男性、優しい人、厳しい人、適当な人、真面目な人、身体科が得意な人、精神科一本でやってきた人、独身、既婚者、離婚歴あり、ゲーマー、筋トレ大好き、、、
等々、病院の専門職の中で大半の人口を占めるだけあって実にバラエティ豊かです。
精神科も一般科の業務と同様に、入院受けだったり、検査出しだったり、こなさなくてはならないイベントも実際はそれなりにあります。
その中でも、精神科という特性上、患者さんから相談を持ちかけられたり、悩みを打ち明けられたりする場面が多いです。
そんな時に、看護師としての経験や引き出しが生きるのは当然ですが、一人の人間としての経験や個性が大いに生きる場面が多いです。
色んな看護師がいるからこそ、患者さんは内容によって相談する相手を使い分けられるし、選ぶことができるし、それは大きなメリットになります。
なので、精神科に勤務すると看護師としてだけではなく、一人の人間としての個性や持ち味を生かせます!
看護師としてじっくり成長できる
「新卒で精神科なんかに行くと、手技が身につかないし潰しが効かなくなっちゃうよ。」
「まずは一般科の病棟で3年は経験を積んで、それから自分のやりたいようにやればいいよ」
皆さん、このようなことを耳にしたことはありませんか?
私もあります。
でも断言します、精神科でも必ず看護師として成長できます!
新人さんが成長しやすい環境として
という事が挙げられます。
これらは実際に、自分が精神科に勤務する上で見てきたことや実践してきたことをまとめました。
今まで私も自分が勤務する病棟で、新卒や第二新卒の看護師の入職がありましたが、みんな自立した看護師として立派に成長することができています。
新人Nsさんや若手Nsさんに対して
ここからは新人さんや若手看護師の皆さんに対して思うことです。
一人一人憧れや希望を胸に、本当に大変な思いをしながら看護師免許を取ったにもかかわらず、
「今の職場を辞めたい」
「動悸がする」
「理由もなく涙が出てくる」
「もう自分なんか消えてしまいたい」
といったことを聞いたり、SNSの投稿を目にすることが多くあります。
看護師の先輩方は新人さんや若手看護師さんに対して、
「新人時代なんて辛くて当たり前なんだから、そのくらいで弱音吐いてどうするの?」
「命を預かってるんだから、こんなことでついていけないんだったら看護師やめたほうがいいよ。」
「辛いことから逃げちゃダメだよ。ずっと逃げの人生になるよ。」
こんな風にアドバイスがあるかもしれません。
いやいや、そんなアドバイス間違ってます…。
かつて自分も新人看護師時代に同じような状況の時があったので、本当に気持ちがよくわかります。
心が追いつめられてしまって、もう看護師なんか辞めてしまいたいと思っている看護師さんたちに声を大にして伝えたいです。
『今の場所から離れましょう!逃げましょう!』
自分なりに一生懸命頑張っても、どうにもならない事は確実にあります。
そんな状況下にありながらも、無理に無理を重ねながらずっと続けていると、いずれ心を病んでしまいます。
そうなってしまうと、看護師として働くことができないだけでなく、その他の職業としても働くことが難しくなってしまうこともあります。
自分が力を発揮できたり、輝ける場所は、今の場所じゃない事もたくさんあります。
なので、辛くなってきてしまった時は「自分がその場所から離れる」といった行動を起こせる体力や精神状態があるうちにアクションを起こすことも大切だと思います。
また、そのような挫折や失敗体験があることで「自分には魅力がない人間だ」と自己肯定感が下がってしまうことにつながりやすいと思いますが、そんなことはありません。
精神科では、むしろ挫折も失敗もない看護師より、挫折や失敗をしてきた経験を持っている看護師のほうが患者さんに共感できるし、寄り添うことができるからです。
このようなことから、心が辛くなった経験がある方は、ぜひ今度は看護師として心が辛い思いをしている患者さんのケアに携わってほしいと思います。
そのような辛い経験や苦い思いをしてきた人こそ、精神科ではより患者さんのために力を発揮できる機会があると思います。
まとめ
・精神科は残業が少なく、ライフワークバランスを整えやすい
・精神科は患者さんの命に直結する頻度が少ない
・精神科看護に従事すると観察力が向上する
・精神科看護に従事するとコミュニケーション力が向上する
・精神科では患者さんと長期的に関われる
・精神科では看護師一人一人の持ち味を出せる
・精神科では看護師としてゆっくり成長できる
今回の記事では以上についてまとめました。
これで一人でも多くの人が精神科に興味を持って、精神科に従事する仲間が増えると嬉しいです!